【コラム】

節子、それタイタニックやない!

2 最低なタイトル、最高のエンタメ性、この面白さに死人もおっき! 『レイプゾンビ』

    佐々木貴之  [2012/02/20]

    よいこのQ&A

    Q:『節子、それタイタニックやない!』ってなあに?
    A:某客船映画みたいにお金かけてません。有名な俳優さんも出てません。でも、作り手の意気込みは負けちゃいないぜ! という知られざる優良エンタメ作品を貪欲に紹介していくコラムだよ。アクション、SF、ホラー、面白いものは何でもアリ! レンタル屋さんに行きたくなること請け合いだァ!

    日本Vシネ界が放つ今度のゾンビは性欲押しです

    「殺るか?! 犯られるか?!」……このキャッチのセンス!

    ゾンビ映画。劇場公開作品はもちろん、未公開作品も含めて未だ衰えることなく量産されているホラー映画の人気ジャンルのひとつである。2000年代に突入すると、勢いよく突っ走るゾンビに天井を這いずり回るゾンビ、夜回りゾンビ、アフリカ系ゾンビ……という具合に新種のゾンビをネタにしたユニークなゾンビ映画も製作され、今後も新たなるゾンビ映画に期待するファンも多いことだろう。

    我が国日本でもギターウルフ主演の『ワイルド・ゼロ』や任侠ヤクザ映画とゾンビ映画を融合させた『実録外伝 ゾンビ極道』といったユニークなゾンビ作品が存在するが、とうとう日本のVシネマ界がトンでもないゾンビ映画を作り上げてしまった。その名も『レイプゾンビ』という明らかに悪趣味感丸出しのベタなタイトルのキワモノ系。

    『吸血少女対少女フランケン』等でお馴染みの友松直行監督がメガホンをとり、小沢アリス、あいかわ優衣、小林サヤ、亜紗美といったAV女優たち(但し、亜紗美は引退済み)をメインキャストに据えた……と、ここまで言えばエロティック要素を押し出したゾンビ映画だとおわかりだろう。

    突如暴徒と化した男たちによる婦女暴行事件が全国各地で多発。レイパーとなった男は、頭部をスッ飛ばされようが、心臓をブチ抜かれようが、女を襲っては強姦しまくる。そして、中出しされた女たちは確実に死んでしまう。男たちは、まさに文字通り"レイプゾンビ"と化したのであった。しかし、原因は全く不明。このパニック大騒動の中、ある神社に看護士ノゾミ、ゾンビに襲撃された女子会社員モモコが身を隠していたが、そこに人妻カナエと女子高生タマエが現れ、4人で共闘することになる……というお話。

    漂いまくるB級感。これぞグラインドハウス!!

    あっちのシーンはさすが本職!

    冒頭から強烈なインパクト。洗濯物を干しているカナエをDV夫が強引に倒して腹蹴りや顔面鉄拳パンチを喰らわせる。このDV攻撃も確かに凄まじいのだが、その直後がもっと凄いのだ!!そう、DV夫はレイプゾンビと化し、カナエの衣服を剥ぎ散って犯すのだ。たまたま、TVで流れたレイプゾンビ多発の緊急特別番組を観たカナエがハサミで夫の股間を突き刺し、ドバッと返り血を顔面に浴びてしまうという痛々しい残虐バイオレンスを堪能できる。このシーン、男なら思わず「ウギャッ!!」とか「グワァ~」と声を漏らしながら気持ち悪さを痛感することだろう。タマヒュンどころの騒ぎではない。

    OPクレジットでは、ズボンを膝の下あたりまでズリ下ろした状態で走りまくるという幼稚園児の悪ふざけみたいなことをやっている成人男性軍団に完全ノックアウトされた。ゾンビに犯される女、丸出しの乳房、それと交互に報道番組の映像も映し出されるが、女性リポーターが「こんなのTVで流して良いの? 良くないよね~」とほざくシーンがチョイト笑いを誘ってくれる。別に大して笑えるようなセリフでもないにもかかわらず、私は顔面をニヤけさせて苦笑してしまったな。

    まぁ、とにかくAV女優が結構出演している(メインキャスト以外に日高ゆりあ、倖田李梨ら)ため、ゾンビとのセックスシーンが多々観られる。とはいえ、AVのようにじっくりと丁寧に描いているわけではないから、これだけで性欲処理なんて不可能。この余裕をもってエロを堪能させてくれないところが逆に良きポイントなのである。

    でも、ノゾミが高校時代にラグビー部員に集団暴行&ビデオキャメラでハメ撮りという陰惨な回想シーン、ノゾミとモモコによるレズシーンは、わりとじっくりと見せてくれていたりする。

    他にもゾンビ軍団の餌食になるタマエ、ゾンビ軍団を相手に銃をブッ放し刀で頭部をフッ飛ばし顔面に蹴りを炸裂させる大暴れのノゾミという具合に、ホラー、アクション、エロ、笑いがまんべんなく散りばめられているので愉快痛快で実に面白い。いや、面白過ぎるのだ。

    血まみれ美女が見たものは…?

    アニヲタゾンビに内田春菊の女性総理…ワキ固めすぎ

    本作には、4人のメインキャラクター以外にも個性的かつユニークなキャラクターが存在する。

    まずは、4人が隠れている神社の家主である少女アニメオタクの童貞男を作家の中沢健が扮し、大いに活躍している。中沢健と言えば、画用紙に書いた小説やイラストを背中に貼り付けた"歩く雑誌"という特異なルックスが注目を呼んで『銭形金太郎』や『アスリート応援TV!ニッポン!チャ×3』といったTVバラエティー番組に出演し、代表作である小説「初恋芸人」を中心に道徳の教科書にも執筆経験のある異色の作家として知られている。怪獣や特撮のオタクとしても知られている彼は本作では黒ブチメガネのルックス、部屋に美少女系アニメのポスターが所狭しと貼られ、そのキャラクターフィギュアもしっかりと飾られているという萌え系のオタクキャラを好演している。また、以前は彼女いない歴26年の童貞を公言していたこともあって、童貞キャラもベリーマッチしている。中沢の終盤での大いなる活躍ぶりに注目して頂きたい。

    次は、漫画家やタレントとしてTV等でも活躍される内田春菊で、劇中では日本初の女性内閣総理大臣役を好演。男性総理をやたらと批判しているわりにはどう見ても「コイツこそ大問題!」とか「こんな女に国を任せたらドエライことになるな……」と思えるようなブッ飛び女総理ぶりが凄まじい。コレ、一度観たら忘れられない名キャラと言っても良いほど。

    童貞アニヲタゾンビのTシャツ!

    じつはこの映画、日本映画の情熱と狂気そのものだったんだ! な、なん(略

    結果的に言えば、本作こそ往年のプログラムピクチャーやグラインドハウスに相応しいブッ飛んだ面白さが味わえる。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にも出品され、ソフトリリースの翌日である3月3日には1日限定のイベント上映も決定しているとのこと。個人的には、このようなあらゆる面白さとエンターテイメント性をぎっしりと詰め込んだ作品なら2週間限定レイトショーという形でも良いのでしっかりと劇場公開すれば良いぐらいだと思う。まぁ、事情もあるだろうし、観る者を選ぶこと間違いなしの内容ではあるが、かつての日本映画が持っていた情熱や狂気を十分に感じられた。ごく普通の人はきっと「悪趣味」とか「最低」とかヌカすだろうが、私は大いに気に入ったぜ!!

    (C)2011「レイプゾンビ」製作委員会

    『レイプゾンビ』

    • 出演:小沢アリス、亜紗美、あいかわ優衣、小林サヤ、中沢健、内田春菊

    • 監督:友松直行

    • 上映時間:73分

    • 販売:アルバトロス

    • 発売日:2012/03/02

    • 価格:3,990円

    ささき・たかゆき

    「映画ライター。1982年、大阪府出身。アクション映画、任侠ヤクザ映画といった男泣き&男臭い作品が大のお気に入り。他にはホラー、コメディー、ミュージカルも……とにかくB級映画、おバカ映画をこよなく愛する

    タイトルイラスト&題字:五月女ケイ子

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    【コラム】節子、それタイタニックやない! 第1回 元格闘家演じるS.W.A.T.が繰り出す手加減ナシのアクションでオーバーキル! (2012/02/11)

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