【レビュー】
今年6月にWWDCでAppleが音楽ロッカーサービス「iTunes Match」を発表した際に、Steve Jobs氏は「iTunes Matchは合致した曲を256kbps AAC (DRMフリー)にアップグレードする」と述べた。翌日あるアナリストと昼食に出かけたときに、この"アップグレード"に話題が終始した。というのも、Jobs氏の説明を鵜呑みにすれば、ファイル交換で不正に入手した音楽であってもAppleが正当な音楽に変えてくれることになる。"資金洗浄"という言葉が思い浮かぶようなサービスに聞こえたからだ。
iTunes Matchは、iTunesライブラリをクラウドに同期し、複数のパソコンやiOSデバイスでクラウド上の音楽ライブラリを共有できるようにするサービスだ。最初の提供地域である米国での料金は24.99ドル(1年)。GoogleやAmazonも音楽ロッカーサービスを提供しているが、これらのサービスではローカルの音楽ライブラリの曲を全てクラウドにアップロードしなければならない。数千曲もあれば、時間がかかる作業だ。iTunes Matchは、パソコンのiTunesライブラリをスキャンし、iTunes Storeで配信されている2,000万曲以上に含まれる曲なら、そのままクラウドライブラリに登録してくれる。iTunes Storeのデータベースに合致しない曲のみアップロードするので、短時間で音楽ライブラリをクラウドに移行させられる。
このとき、もしiTunes Storeと合致した曲のオリジナルのビットレートが256kbps未満だったら、クラウドライブラリを通じて音楽がより高いビットレートにアップグレードされることになる。「いくら何でも、不正に入手した低ビットレートの音楽をApple提供の256kbpsの音楽(しかもDRMフリー)に変える術は用意しないだろう……」と考え、そこで我々は具体的なサービスのありようを色々と予想した。その時の結論は、「ダウンロードは音楽を抜き出せないiOSデバイスのみ、パソコンはストリーミングのみになる」だった。しかし、14日にAppleが米国で開始したiTunes Matchは驚かされるサービスだった。
次ページ:数分でiTunesライブラリがクラウドに
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